2019/12/14
一生勉強 恋愛小説を読むように
『一生勉強』というのはどんな仕事でもそうだと思いますが、私たち開業鍼灸師は定年がない分より一層その色は強いのかなと思います。
鍼灸師は鍼灸の専門学校か大学に3年ないし4年通って国家試験を受ける資格を得て、その上で国家試験を受け、合格して初めてはり師、きゅう師の免許が貰えます。
ですがその年月学んだことが即臨床に活かされるかと言うと、それはほんのごく一部。
卒業して臨床につく時にはゼロからのスタートだと言っても言い過ぎではないように感じます。
そこからは患者さんが先生。
患者さん一人一人に向き合いながら、どうすれば良くなるのか試行錯誤を繰り返すことで少しずつ経験を積んでいきます。
その過程で、数年間直接お世話になったお師匠先生に言われたことがあります。
それは、
腕を上げたかったら
恋愛小説を読みなさい
というものでした。
恋愛小説には人の心の機微が沢山表現されている。
内臓や筋肉の働きや仕組みを知ることも大事だけれど、その人の全体を見て、心や体が何を訴えているかを感じ取ることが大事なんだ、と。
臨床を重ねる程、その言葉の意味がジンワリ沁みます。
人は鍼灸の技術だけで治っていくわけではない、と日々感じます。
触れ合いであったり、会話であったり……存在と存在との接触が影響を及ぼし合う。
だからこそ、鍼灸の技術を向上させていきたいと思うのと同じくらい、その人のことを理解したい、と強く思います。
そのために、自分自身を満たしていたい。
治す人と治される人の間に豊かな気が流れ、循環するように。
見えますとか
キテますとか
そういうのはありませんが(笑)自分自身が元気な時の方が、治療がより”流れる”気がします
治す人と治される人とで流れを作る。
その中で、互いが癒されていく。
それが好きで、鍼灸を続けています。
今週のお仕事は終わり。また来週も、頑張ります
みゆ