2020/02/26
解離性障害と鍼灸
今日来られたお客さんの中に解離性同一性障害(昔は多重人格と呼ばれていたもの)の方がいらっしゃいます。
躁うつ症状とパニック症状も一緒にあって、とにかく生き辛い。
ベース、生きてるだけでしんどいんです。
楽な時というのがあまりない。
主人格があまりにしんどくなって一定ラインを超えると別人格に入れ替わってしまうために、治療の予約をしていても来れなくなってしまったりすることもあります。
しんどくなってきたなぁという普通の人なら普通にキャッチできる情報をキャッチできずに、いきなりスイッチオフになるんですね。
そういう時は主人格が戻ってきてから謝罪の電話があります。そしてもう一度予約を取り直して治療を続けて下さってます。
今日来られた時もギリギリの状態でした。
表情も乏しく、声も小さく、身体的には頭痛、肩首の詰まり、凝り、めまい、むくみでものすごく辛い。
まずは仰向けで、『本治』と呼ばれる根本を整える鍼とお灸をします。
この施術が終わる頃、表情がふっと柔らかくなってきます。
それからうつ伏せ、横向きで詰まっているところをどんどん取っていく『標治』の鍼灸をしていきます。
治療が終わると、
「毎回思いますけど、全然違う……別の体に入れ替わったみたい」
そう仰る口調は声もはっきりしていて、表情はとても明るい。
ありがとうございます、と言って頂きますが、そう言って喜んでもらえると、こちらもありがとうございます、という気持ちになります。
鍼灸師で良かったなぁと思える瞬間です。
過酷な生い立ちから持たざるを得なかった『解離性同一性障害』という重荷を、すぐに軽くするのは難しい。
でも体を楽にすることは出来ます。
体が楽になれば、常に感じている『しんどさ』の数が減ります。
立っていることも難しいような辛さがマシになります。
どんな条件を背負っていようと、人は死ぬまでは生きなきゃいけません。
その道行きを少しでも身軽に、苦を少なくすることが出来ればいい。
そう願って、鍼とお灸をしています。
心と身体は別々のものではありません。
鍼灸は、体からのアプローチで精神的な症状を軽減していくことが出来ます。
うつやパニック障害、不安神経症などでお悩みの方は当院にご相談ください。
みゆ