2020/01/31
パニック障害と鍼灸
うちのお店には、うつやパニック障害の方が比較的よく来られます。
来られた方の紹介というのではなく、ネットで探して見つけてくださるパターンがほとんど。
「鍼灸でうつが良くなったと書いてある元うつ患者さんのブログを読んで」
とか
「知り合いもパニック障害で、こういう治療で治ったと聞いて」
とか。
ほぼ全員が薬が増えていくのが怖い、薬を飲んでいても良くなっているのかどうか分からないと思っていて、違う方向性の治療を求めてらっしゃいました。
鍼灸に『パニック障害の治療』がある訳ではありません。
鍼灸院、鍼灸師ごとに色々な伝え方をしていると思いますが、鍼灸の強さは対症療法よりもむしろ全体的な治療にあると思っています。
体をその人の持つ自然な状態に導く。
滞っている部分は流れるように、偏っている部分はなだらかになるように
そうすると体が持っている本来の力が発揮され、自ら良い方向へと動き出します。
つい先日新しく来られたパニック障害のお客さんもそうでした。
発症して10年以上になり、発作はほぼ毎日。今現在は胃腸の不調がメインのお悩みです。
鍼灸は初めてで初診は随分緊張してらっしゃいました。
体のあちこちにストレス反応があり、治療は胃腸の不快症状に対するものを中心に、全身に及びました。
2回目に来られた時、一番メインの胃の症状はまだ改善していなかったのですが、便通や睡眠、気分に改善が見られました。
そして……
私が「発作の出方はどうでしたか?」と尋ねると、お客さんは一瞬不思議な顔をして、その後驚いた表情に変わって、
「そう言えば1度も出ていません……」
とおっしゃいました。
面白いでしょう?
パニック発作があまりに日常的にあるものだから、出なくなっていても気が付かなかったんですね。
そのくらい、鍼灸の効き目はとても自然です。
パニック発作に対する治療をした訳ではありません。
体が上手く流れるように整えてあげただけです。
体はほんとに賢くて、自分で治っていける力をちゃんと持っています。
私たちは鍼とお灸で、そのお手伝いをしています
みゆ